店長青山です、
革靴がお好きで、自分で靴のお手入れもされている方の間では、革靴も水洗いできるという事が大分知られてきました。
でも実は、スエードの革靴だって
【自分で簡単に水洗いできる】
という事実をご存じでしたか?
汚れを落とし、色を蘇らせ、型崩れしたシルエットを復元するスエード革靴の水洗い方法をご紹介します!
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スエード皮革の革靴を水で丸洗いして汚れを落とす方法
今回水洗いするスエード革靴は【Church’s】のスエードローファーです。
このローファーを水洗いしてさっぱりさせようと思います。
地面に近い革底との境目付近が汚れています。ソールもだいぶ乾燥が進んでくたびれてきていますね。
こちらのスエード革靴を水洗いとお手入れでどこまでキレイに革を蘇らせて復元できるか実験です。
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スエード革靴の通常お手入れの手順
さて、スエードの革靴ですが水洗いの前に通常のお手入れの方法を知っておかねばなりません。
毎回、毎回水洗いをする必要はないからです。
スエード革靴のお手入は、汚れる前のビフォーケアが非常に有効という特徴があります。
しかもとても簡単で大まかな手順としては2ステップしかありません。是非、今回一緒に覚えておいてください。
ステップ1
スエード革靴専用のブラシでブラッシング
ステップ2
スエード専用のスプレーを吹きかけて保湿、保革
以上の2工程です。
スエード専用ブラシでブラッシング
ステップ1
まずはスエード革靴専用ブラシでブラッシングします。
ドイツ製
ツイストワイヤーブラシ
こちらはスエードやヌバックのケアにおすすめのブラシです。店長青山も店舗で実際に使用しています。
ケア前のホコリ落としや、仕上げの際に毛を起こす作業に用います。ヌバックのテカリ解消などにも最適です。
このブラシの利点は大まかに3つあります。
1、柄にくぼみがついていて持ちやすい
柄の部分に凹みが付けてあるので、その部分を指で押さえる事でしっかりとブラシを持ってブラッシングができます。
2、波型ワイヤーでしっかりと汚れをかき出す
ブラシの毛の中央に見える金色のワイヤー部分は金属の真鍮でつくられており、1本1本ねじられて(ツイスト)います。
ワイヤーがツイストされている事により、通常の品よりもホコリや汚れをしっかりとかき出して綺麗にしてくれます。
3、先端が広がりにくい構造で長持ちする
ワイヤーの周りはナイロンの毛が植え込んであります。ナイロンで囲んでいる事により長く使用してもワイヤー部分が広がりにくい構造となっています。
柔らかいスエードの革靴の時は、ナイロン部分でなでるようにブラッシングすると毛並みが綺麗になります。
外側のナイロン部分を使用する事で金属のワイヤーが直接、靴に当たるのを防ぎます。デリケートな靴を傷めにくい設計にもなっているのです。
スエード専用の栄養補給スプレーを吹きかける
ステップ2
スエード専用のスプレーを吹きかけて革に栄養を浸透させ保革し、防水性も高めます。
スエードスプレーと言っていますが皮革を毛羽立させている素材としてはヌバックも原理は一緒です。ですので、ヌバック素材のアイテムにも同様に使えます。
【M.モゥブレィ】
スエードカラーフレッシュ
こちらスエード・ヌバック専用の栄養・防水・色あせ防止スプレーを使用するメリットも3つあります。
1、スエード皮革の色アセ防止
革靴が新しいうちからこのスプレーを使用すると色アセを予防する効果があります。
また、乾燥が進んだスエード皮革にスプレーをすると革に油分が補給されるので、白っぽくなったスエードもトーンが落ち着いて色が戻ってきます。
2、スエード皮革の防水効果
毛羽立たせたスエードの繊維に油分が栄養が浸み込む事により、防水効果をもたらします。
定期的にスプレーをしておく事で、適度な油分が皮革に保たれるのでちょっとした雨なら水を弾きますし、汚れも付きにくくなります。
3、無色なのでアイテムを選ばない
スプレー自体は無色なので、どんな色のスエード皮革にも使えます。また靴以外のスエードのバッグ、ベルト、ウェアーにも使用できるで一本で様々なスエードアイテムをケアできます。
と、いうことでここまで見てきたように
1、ブラッシング
2、スプレー
というこの簡単な2つの手順でスエード革靴の普段のお手入れは終了です。
お手入れもとても簡単で楽ちんですので、スエードの革靴は一度履くと病みつきになります。まだお持ちでない方は是非お勧めです。
一番雨の日に使える革靴はスエード×ラバーソール
そして、スエードは一般的なイメージとは裏腹にきちんと油分と栄養を加えてケアすれば表革よりも水に強いレザーとなります。
起毛された毛足が、表面にかかった水滴を染み込む前にはじく働きをしてくれるからです。
雨の日に最も強い革靴の一つは
『アッパーがスエード』
で
『アウトソールがラバー』
のタイプの靴です。是非こちらも今回、知識として覚えておいてください。
では実際に、ステップ1の手順であるブラッシングからお手入れを行っていきましょう!
スエードブラシでブラッシングして汚れを落とす
上の写真がブラッシングをした後のローファーです。
最初の時と比べるとブラッシングだけでも大分汚れが落ちているのがわかりますでしょうか?
地面に近いサイド側の汚れがブラッシングだけで落ちています。
【Before】
【After】
普段のお手入れとしては、このブラッシングのケアを常に行い、スプレーで栄養補給と防水をする事で汚れが付着しにくくなります。
靴が汚れる前のキレイな状態を保つために、普段からブラッシングとスプレーをしておくとスエード靴のケアはかなり楽ですよ。
スエード革靴をバケツにどぶ漬けして全体を濡らす
日常のケアとしてはブラッシングの後にスプレーをするのですが、今回はその前の段階で水洗いの工程を入れてお手入れをしてみます。
はい、店長青山のブログでお馴染みのバケツにどぶ漬けです。
革の内部にまで染み込んでしまった汚れや汗の塩分をバケツの水に漬けて溶かし出します。
通常のケアだけではなかなか除去することのできない汗ジミや塩分まで除去できるのが水洗いをする大きな利点です。
こちらが2時間ぐらいバケツの水に漬けておいたチャーチのスエードローファーです。
基本的な通常の水洗いであれば、このように革靴を水の中にどぶ漬けする必要はありません。
たっぷりと濡らしたスポンジやタオルなどで、スエード部分全体をムラの無いように均一に濡らすだけでも水洗いの準備はOKです。
その上で以下の作業を行って水洗いして下さい。
スエード革靴専用のシャンプーで水洗い
今回使用するお手入れ用品ですが
【M.モゥブレィ】
スエード&ヌバックシャンプー
【R&D】
クリーニングスポンジ
【R&D】
クリーニングブラシ
の3点です。
スポンジにシャンプーを付けてスエードにすり込む
スエード&ヌバックシャンプーは文字通りスエード靴のシャンプーです。
【M.モゥブレィ】
スエード&ヌバックシャンプー
クリーニングスポンジに染み込ませた後、良く泡立ててから靴にすり込むように付けていきます。
クリーニングスポンジはセルロースという植物性繊維から作られたアイテムです。吸水性が高く泡立ちが非常に良いのが特徴になります。
シャンプーの泡で落とした汚れも吸収し、除去してくれます。
【R&D】
クリーニングスポンジ
クリーニングブラシで泡立てるようにブラッシング
その後、クリーニングブラシで円を描くようにブラッシングをしながらさらに汚れを落としていきます。
ブラシを使用するとスポンジだけでは届かないコバの間や、ブローギングの穴飾りの中なども簡単にきれいにすることができます。
ブラシの毛は柔らかく、泡立ちやすいようになっていますのでしみついた汚れもゴシゴシ洗って落としていけるのです。
【R&D】
クリーニングブラシ
シャンプーの成分をよくすすぎ、泡を落とす
汚れを落とした後は、そのままクリーニングブラシを使用してプラッシングしながら水をかけてよくすすいでいきます。
スムースレザー用の皮革専用せっけんである
の場合は、革を保革する成分が泡の中に入っていますので軽く洗い流すようにします。
源泉掛流しの温泉に入った時などは、お湯の薬効を肌に残す為に洗い流さず温泉から出たりしますよね。
そんな感じで保湿成分を完全に洗い流さずに優しく残すようなイメージです。
それに対して、スエードシャンプーの場合はしっかりと水でシャンプーを落とします。
髪の毛をシャンプーで洗った時は、頭皮にシャンプーが残らないようにしっかりと洗い流しますがそれと一緒です。
こちらが洗い終ったスエードローファーです。
革の中まで染み込んでいた汗や汚れも除去できてかなりさっぱりした印象です。
革靴の水分をタオルなどで吸い取らせる
その後はタオルなどで水気をとっていきます。
しっかりとタオルドライする事で乾かす時にも短時間で済むようになります。
靴を水洗いする利点としては、革の中に染み込んでしまった汚れや汗を洗い流すことができるというのはお伝えしました。
さらにもう一つ、通常のお手入れでは決して行う事のできない、優れた特徴があるのですがそれは何だと思いますか?
水洗いの利点は崩れた革靴の形を戻せる事
それはですね、形が崩れてしまった革靴も
【水を含んで柔らかくなっている段階で整える事でシルエットを元に戻せる】
という事なのです。
もちろん、ある程度という事になりますが甲の部分に入ってしまったシワなどを伸ばして、形をきれいにする事が可能です。
甲の部分を丁寧に伸ばしながら木製のシューキーパーを使用して靴の形を整えます。
その際には靴に形に合ったキレイな形のシューキーパーを使用する事が必要です。
ここで靴に合わないシューキーパーを使用すると、いびつな形のまま靴のシルエットが決まってしまうので注意して下さい。
シューキーパーを使用して乾かす事でシルエットを整える
その点からいうと今回使用した
サルトレカミエ
Sarto Recamier シューキーパー
はフォルムもきれいですし、このお値段に対しては世界でも最高水準の高性能となっています。
かなりおススメのシューキーパーですのでまずは、お一つだけでも手に入れて使用される事をお勧めいたします。
先ほどの状態から乾かした革靴がこちらです。
革底に栄養を与えてアウトソールを保護する
ここで乾いたローファーのアウトソールを先にお手入れします。
具体的には、靴の革底に栄養を補給する
【M.モゥブレィ】
ソールモイスチャライザー
を使用します。
これはレザーソールに栄養を与えるためのクリームです。
レザーソールは乾燥すると革が固くなり、減りが早くなります。靴の寿命が短くなる原因となってしまいます。
このクリームで潤いを与えると歩行時の革底の返りも良くなり、革底が長持ちすることになるのです。
ペネトレイトブラシを使用して革底のソールモイスチャライザーを塗り込んだ後は、乾いた布で乾拭きをして仕上げます。
アビィレザースティックで革底をしごきながら磨く
その際にもし
【Abbey Horn】
レザースティック
があれば、ポリッシングコットンに巻き付けて、革底をしごくように力を込めて磨きこんでいくとより効果的です。
ソールモイスチャライザーを入れた事で一度緩んだ革の繊維も、しごく事で締まり表面もしっとりと滑らかに仕上ります。
同様にこの後行うコバのお手入れの際も布で巻いたスティックで力強く、コバに光沢感が出るまで磨き込むと見違えるようにきれいな仕上がりとなります。
このアビィホーン社のレザースティックに関しては、インターネット上などで「値段が高すぎるから必要ない」といった意見がたくさん見受けられます。
が、すべて価格だけを問題にしていてアビィホーン社のスティックについてきちんと調べた上て投稿している人は見かけません。
このスティックに関しては購入を迷われている方も多いようですのでこちらの記事も参考にしてみて下さい。
コードバンの手入れに【ABBEY LEATHER STICK】は必要なのか?
コードバン革靴のお手入れについて記載しています。
コバを磨くと靴の美しさがレベルアップする
コバの部分の色落ちに関しては
【M.モゥブレィ】
ウェルトクリーム
を付属のブラシで塗り込んだ後に乾拭きをして仕上げます。
ウェルトクリームはコバの部分のキズや色アセした部分を補色して革に浸透し、栄養と潤いを与えます。
色を付けるだけでなく、レザーソールに栄養まで与えられるのが特徴です。革底の乾燥を防いで劣化を防止してくれます。
革靴のコバ部分は思った以上に見た目の印象を左右する箇所です。
今までに一度もコバのケアをした事がないのであれば、だまされたと思って一度手入れをしてみて下さい。
革靴の美しさがより引き立ち、1ランクレベルアップした見た目を堪能してもらえる事でしょう。
実際の革底のお手入れ【ビフォーアフター】
『お手入れ前』
『お手入れ後』
いかががでしょうか?
レザーソールをお手入れする事で革靴の寿命がぐんと延びますので、普段から定期的にケアする事をお勧めします。
スエード靴のアッパーをスプレーで仕上げる
アウトソールのケアが終ったらアッパーの仕上げに入ります。ただ、仕上げと言っても先ほどお伝えした通り超簡単です。
【M.モゥブレィ】
スエードカラーフレッシュ
こちらのスプレーを全体に吹きかけて乾くのを待つだけです。
スエードカラーフレッシュはスエードやヌバックに栄養を補給して柔軟性を与え防水効果を加えます。
色あせしたスエードも発色が良くなりますし、定期的な使用で革靴を長持ちさせる事ができます。
『お手入れ前』
『お手入れ後』
『お手入れ前』
『お手入れ後』
と、いう事でいかがだったでしょうか?スエード靴の水洗い。
難しいことは特に何もありません。
あなたも小学校の時に上履きを石けんで洗って水ですすいで干した経験があると思います。
それと全く一緒です。
ただ、洗うのが革靴になった点とスエード用の専門シャンプーを使用する点だけが違うのです。
簡単ですので是非、挑戦してみて下さい。
せっかくお気に入りの革靴だって見た目が汚くなってしまったら履く頻度が下がってしまいます。それでは革靴が可哀想です。
簡単にお手入れ出来るものに関しては、どんどん気軽に自分でケアしてあげて下さい。
更に愛着がわいて革靴を履くのが一層楽しくなりますよ。
何かわからない事などがありましたらお店で店長青山までお気軽にご相談ください!
それではまた!
※ お勧め参考記事
動画
【前編】
【後編】