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クリームとブラシだけで簡単にコードバンの革靴を磨く方法

 

店長青山です、

ビンテージのコードバン革靴を入荷しましたので、お手入れをしたいと思います。磨く革靴はアメリカ革靴【HANOVER】1970年代の名品【L.B.Sheppard】です。

 

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70s HANOVER【L.B.Sheppard】

 

で、今回は

 

クリームとブラシだけで簡単にコードバンの革靴を磨く

 

これを達成する事を目的としたいと思います。

 

まず、下準備としてクリーナーで汚れを落とした後、クリームと仕上げ用のホースブラシだけでコードバンを磨いていきます。

 

行う工程はたったの3ステップです。

 

この方法であればどなたでも簡単にコードバンの革靴を磨く事が可能です。コードバンだからと言って難しい事は何もありません。是非、一度試してみて下さい。

 

ビンテージのコードバン革靴にはイングリッシュギルド

 

個人的にビンテージのコードバンの魅力はその透明感のあるツヤだと考えています。色々とコードバンの革や靴も見てきましたがやはりビンテージの品は現行品のHORWEEN LEATHER などとは違っているように感じています。

 

ですので今回はまず、そのビンテージ特有のツヤ感を魅力的に引き出すためのクリームを選びました。

 

通常コードバンの革靴を磨く時には【M.MOWBRAY】の

 

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【Cream Naturale】

 

を使用する事も多いのですが、ビンテージのコードバンに使用するクリームはイングリッシュギルドのビーズリッチクリームです。色はニュートラルを選びました。

 

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【ENGLISH GUILD】Bees Rich Cream

 

イングリッシュギルドは【M.MOWBRAY】の会社【R&D】が輸入元で日本代理店となっています。ですので【M.MOWBRAY】の正規販売店でもある古着屋ガレージセールはイングリッシュギルドも正規取扱店となります。

 

 

【ENGLISH GUILD】Bees Rich Cream でコードバンを磨く

 

クロケット&ジョーンズやジョンロブなどイギリスノーザンプトンのシューメーカーが使用するイングリッシュギルドについてはかなり詳しく、ご紹介している記事があります。ここまでの内容を記載している所は他にないと思いますのでそちらを参考にして下さい。

 

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正規取扱店が暴くイングリッシュギルドの評判

 

では早速、お手入れに取り掛かりたいと思います。

 

コードバン革靴のお手入れと聞くと何か特別な手順が必要なのではないかと思われる方も多いのですが、基本的に普通の革靴と変わりません。イングリッシュギルドの使い方も通常のクリームと一緒です。

 

行うステップは以下の3つです。革靴のお手入れ初心者の方でも簡単にコードバンを磨く事ができます。

 

ステップ1

汚れをクリーナーで落とす

ステップ2

クリームを塗る

ステップ3

ブラッシングでツヤを出す

 

こちらの手順でお手入れして行きたいと思います。

 

コードバンの革靴も良く水拭きする

 

まず、コードバン革靴の靴ヒモを外し、ホースブラシでブラッシングしてよくホコリを落とします。羽根の内側にホコリや砂がたまりやすいのできちんとブラッシングで付いている汚れをかき出します。

 

その後、水に濡らし適度に絞った布で全体を拭き上げます。ここでのポイントは全体を均一に拭き上げるという点です。全体的に水で皮革を湿らす事によって、濡れた所と乾いている部分の差ができないようにします。

 

もし、ある特定の部分だけが濡れてしまうと全体を乾かした時に色のトーンに差が出てしまい、ムラのように見える事があります。これが一般的に言われる水ジミの原理です。

 

なので、革靴の水シミを防ぐのは実は簡単です。雨などで革靴が水に濡れてしまった時にはそのまま全体を濡らすように水を含んだ布で拭き上げればいいのです。これはコードバンでも一緒です。

 

色のトーンに差が生まれているから濃い部分だけがシミとして認識されます。乱暴な考え方をすれば全部を濡らして革靴全てを水ジミにしてしまえばシミとして見える部分が無くなるのです。

 

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と、いう事で丁寧にブラッシングしてホコリを落とし、全体を良く水拭きした後の革靴が上の物です。

 

まずはこちらの汚れをクリーナーで落としていきます。使用するクリーナーは【M.MOWBRAY】のステインリムーバーです。

 

ステインリムーバーは良く振ってからコードバンに使用する

 

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【M.MOWBRAY】STAIN REMOVER

 

ステインリムーバーは水溶性の汚れ落としです。先ほど丁寧に水拭きをしてから始めましたが、このステインリムーバーを使用するだけでも水分が皮革に浸透します。もしこちらを使用するのであれば最初の水拭きの手順は省略してもいいかと思います。

 

こちらを使用する際の注意点としては

 

ステインリムーバーの容器を良く振って中身の成分をかき混ぜてから使う

 

という点です。他社のリムーバーでも多く見られる事ですが、少し時間がたつと内容成分が分離して沈殿していますので使用の度に良く振って中身をシェイクしてから使って下さい。

 

ステインリムーバーの中身を専用の

 

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リムーバークロス

 

などに含ませてから革靴全体を拭いて汚れを落としていきます。

 

ステインリムーバーでは頑固なワックスが落とせない

 

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ステインリムーバーで全体的な汚れを拭き取った後のコードバンです。表面上のツヤ感が落ちてマットな印象となっています。

 

しかし、ここで注意すべき事としては

 

ステインリムーバーは水溶性なので頑固に固まったワックスや油汚れには弱い

 

という点が挙げられます。

 

これは良い悪いという事ではなく、製品には特徴があるので目的によって使い分ける必要が出てくる、という事なのです。

 

今回は実際にステインリムーバーを使用してみましたが、ビンテージ革靴であるが故に、以前の手入れで何度も重ね塗りされたであろう頑固なワックスが残りました。

 

ですので、ここでワックスを落とすために違った種類のリムーバーを使用する事にします。それは【SAPHIR】の RENO MAT REMOVERです。

 

【SAPHIR】RENOMAT REMOVERをコードバンに使用する

 

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【SAPHIR】RENOMAT REMOVER

 

サフィールのレノマットリムーバーは市販の汚れ落としの中でも非常に強力な品です。こちらについては詳しく紹介している記事がありますのでそちらを参考にして下さい。

 

●おすすめ参考記事
saphir-renomat-remover
【M.モゥブレイ】を裏切ります・・・SAPHIR 【RenoMat Remover】

 

 

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こちらがレノマットリムーバーを使用して、残っていたワックスを落としたコードバンです。ワックスで黒みがかっていた革の色でしたが、明るくなって地の色が出てきています。

 

そして店長青山独自の方法ですが、ここでもう一回ステインリムーバーを使用します。

 

これはなぜかというと汚れ落としに使用したレノマットリムーバーが革に残っていると思うので、水溶性のステインリムーバーで除去する為です。

 

強力なレノマットリムーバーは匂いも強く、そのまま革に残した状態で次の段階のクリームを付けたくないので個人的な感覚でそうしています。

 

一番最初からレノマットリムーバーを使用していれば、2回もステインリムーバーを使用する事は無かったのですが一度目のステインリムーバーで落とせない汚れがあったために今回は合計で3回リムーバーを使用しています。

 

0、最初の水拭きだけの状態  ⇒

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1、ステインリムーバー(汚れ落とし) ⇒

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2、レノマットリムーバー(ワックス落とし)⇒

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3、ステインリムーバー(レノマット落とし)

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という流れになっています。

 

ここまでリムーバーを使用する必要があるのか、と言えば正直無いと思います。何回も汚れ落としをする事はコードバンの皮革にとってもダメージになるはずです。

 

ただ、店長青山的にはしっかりと汚れを落とす事を何よりも優先させたいのでこのような手順となっています。この方法をあなたにもお勧めする訳ではありませんのでご自身の目的に合わせてリムーバーも使用して下さい。

 

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では、キレイにすっぴん状態になったコードバン革靴にクリームを塗っていきます。

 

コードバンには馬毛のペネトレイトブラシを使用

 

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ドイツ製【M.モゥブレィ】
馬毛ペネトレイトブラシ

 

今回使うクリームはイングリッシュギルドのビーズリッチクリームです。イングリッシュギルドにはブランド専用のペネトレイトブラシである【スプレッドブラシ】というアイテムが存在します

 

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【ENGLISH GUILD】SPREAD BRUSH

 

このブラシの特徴は通常のペネトレイトブラシよりも柄の部分が長い事です。

 

【M.MOWBRAY】のペネトレイトブラシはドイツ製で7㎝ですがこちらのスプレッドブラシは同じくドイツ製で11㎝となっています。使用されている毛は豚毛です。

 

持ち手も含め通常のペネトレイトブラシより4㎝長い事で大きめの容器でも隅まで楽に届きます。クリームを効果的かつ、手を汚さずに最後まで使用できる点がメリットです。

 

このようにとても使い勝手の良いブラシなのですが、今回は革靴がコードバンなので豚毛のスプレッドブラシではなく【M.MOWBRAY】の馬毛ペネトレイトを使用する事にします。

 

馬毛のペネトレイトブラシを使用されている方は意外に少ないのですが、様々な使い方ができるとても優れたブラシです。個人的に馬毛のペネトレイトブラシはもっと活用されてもいいアイテムだと思います。

 

使用方法については過去の記事で詳しく説明していますので参考にして下さい。

 


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【決定的な裏技】鏡面磨きを失敗しないコツは馬毛のペネトレイトブラシ!

 


horse-penetrate-brush-4
【発想の転換】馬毛ペネトレイトブラシの意外な活用方法!

 

 

Bees Rich Cream をコードバンに使ってみる

 

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それでは実際にイングリッシュギルドのビーズリッチクリームをコードバンの革靴に塗布して行きます。使用する色はニュートラル(無色)です。

 

今回の革靴に補色が必要な時は恐らくビーズリッチクリームのバーガンディを使用すると思いますが、ビンテージコードバンの雰囲気をそのまま楽しみたかったので、まずは無色で行います。

 

たとえ無色であっても油分や水分が皮革に浸透しますので色のトーンは濃くなって落ち着いた雰囲気になります。

 

イングリッシュギルド ビーズリッチクリームの匂い

 

フタを開けると一種独特の匂いがします。

 

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ビーズリッチクリームの成分は、

『ナチュラルワックス、合成ワックス、油、染料、香料、水 』

です。

 

一番最初に嗅いだ時は【M.MOWBRAY】の「クリームナチュラーレ」と「Venetian SHOE CREAM」 を混ぜたような匂いだと個人的に思いました。

 

ナチュラルクリームが「クリームナチュラーレ」、合成ワックスが「ベネチアンクリーム」なのかとも思いましたが、最近では嗅ぎ過ぎてなんだか良く分からなくなってきました。

 

決してイヤな香りではないとは思います。ただ、ちょっと人によっては好き嫌いはあるかもしれません。

 

※おすすめ参考記事
VENETIAN-SHOE-CREAM
決してネットでは語られないベネチアンクリームの真実


ビーズリッチクリームの使用感について

 

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馬毛のペネトレイトブラシにビーズリッチクリームをとります。

 

ポッテリとした質感で、【M.MOWBRAY】のクリームナチュラーレより弾力性がある気がします。フタを開けて逆さまにしたり、多少揺らしたりしても落ちてくる気配はありません。

 

ちょっと上の写真のクリームは付け過ぎてしまいました。一回に取る量はこれの半分くらいで充分だと思います。

 

カメラの画面を見ながら作業を行っていたので上手くできませんでしたが、クリームが付いている感はわかりやすいので許してください。。

 

では、実際に革靴に塗ってみます。

 

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付け過ぎました。。。

 

もっと少量ずつを革靴の数か所に塗布し、素早く塗り広げるようにすると上手く行きます。

 

写真でみるとクリームが青白く見えますが、実際に目で見ても塗ったクリームが青白く見えるので不思議です。

 

イタリア製の【M.MOWBRAY】クリームナチュラーレはさらりと気持ちよく伸びてくれる感覚がありますが、イングリッシュギルドは浸透しながら皮革に絡みついているような手ごたえを受けます。

 

コードバンの皮革というのは革の繊維が立ち上がってしまう事で表面がくすんで見えてしまいます。

 

先ほどリムーバーで処理した革靴がマットな感じでぼやけて白く見えたのも、水を含ませた事でコードバンの繊維が立ち上がってしまったのが原因です。

 

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ビーズリッチクリームはこの繊維にねっとり、しっとりまとわりつく事で、立ち上がってしまった繊維をしっかりと寝かせて、美しい光沢もたたす効果がありそうです。

 

ここまで、使用感については全て店長青山の個人的な感想です。

 

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上の写真がビーズリッチクリームを全体に塗り広げた状態です。この状態からブラッシングをして光沢感を出していきます。

 

ビーズリッチクリームを塗った後にブラッシングをする

 

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ビーズリッチクリームを革靴に塗り広げた後は磨き用のホースブラシで円を描くように丹念にブラッシングをしていきます。

 

この時点ではテクニックとかはあまり関係ないように思われます。とにかく時間をかけて根気よくブラッシングをする事です。

 

もし、時間を短縮したい時はまず最初の段階で毛にコシのある磨き用ブラシで力強くブラッシングします。ある程度、毛に強さのあるブラシでコードバンの繊維を寝かせてしまうという事です。

 

良いか悪いかは別として豚毛、もしくは化繊ブラシでしっかりと力をかけてブラッシングしてツヤ感を出してしまうのが時間を短縮するコツです。

 

その後に、ホースブラシで円を描くようにブラッシングをして最終的なコードバンのツヤを出していきます。

 

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ブラッシングをしていくとこのようにコードバン特有のツヤ感がでてきました。今回の目的はイングリッシュギルドとホースブラシだけでコードバンの革靴を仕上げる事ですのでここで終了です。

 

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特別なスキルや方法論などは全く必要ありません。クリームを付けて丁寧にブラッシングをするだけでもコードバンはここまで光ります。

 

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難しく考える必要は全くありませんので、気軽にコードバンの革靴でも磨いてみて下さい。

 

初心者がコードバンを磨く時の3つのコツ

 

いかがでしょうか?ここまで色々と記載してきましたが、結局、行った作業というのは3つのステップだけです。

 

ステップ1

汚れをクリーナーで落とす

 

ステップ2

イングリッシュギルドのビーズリッチクリームを塗る

 

ステップ3

ホースブラシでブラッシングをしてツヤを出す

 

この3つのステップだけです。とても簡単でしたね。ステップごとのコツとしては

 

ステップ1のコツ

しっかりと汚れを落とす

⇒ リムーバーを使用する

 

ステップ2のコツ

皮革にあったクリームを選ぶ

⇒ コードバンにはイングリッシュギルド

 

ステップ3のコツ

しっかりと丹念にブラッシングをする

⇒ 時短の時はまず最初にコシのあるブラシを使う

 

以上になります。参考にしてみて下さい。

 

ABBEY LETHER STICK で毛羽立ちを押さえる

 

ではおまけとして、個人的には『コードバンのお手入れが10倍楽しくなる!』と感じている優れ物アイテムをご紹介します。

 

水牛の角で出来たコードバン用の靴磨きアイテム、アビィレザースティックです。

 

こちらについては過去の記事で詳しくご紹介していますので参考にして下さい。

 

●おすすめ参考記事
アビィレザースティック
コードバンの手入れにアビィレザースティックは必要なのか?

 

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ABBEY LEATHER STICK

 

このアビィレザースティック、輝きを出すためにコードバン革靴の表面をこすりつけて使用します。

 

これにより、毛羽立ってしまったコードバンの繊維を寝かしつける役割を果たします。スティックで擦るとコードバンの美しいツヤが蘇ってくるのです。

 

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コードバンの革靴を履いていると、まず表面の輝きが落ちて白く見えてくるのはシワの部分です。シワの部分は屈曲するので表面の繊維がけば立ちやすいんですね。

 

そのシワの部分の白い毛羽立ちをいとも簡単に治し、美しい輝きを取り戻す方法があります。

 

ここで活躍するのがアビィレザースティックとイングリッシュギルドのビーズリッチクリームです。

 

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ビーズリッチクリームを上の写真の様にレザースティックでごくごく少量すくい取ります。そして白く見えるようになったコードバンのシワの部分にこすりつけて磨きをかけていくのです。

 

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このようにしてアビィレザースティックとイングリッシュギルドのビーズリッチクリームを併用すると、いとも簡単にコードバンのシワ部分の毛羽立ちを押さえて、美しいツヤと輝きを取り戻す事ができます。

 

コードバンの革靴をお手入れまで楽しみたいという事であれば、非常に嬉しいアイテムです。コードバンの靴磨きが10倍楽しくなる事、間違いなしでしょう。

 

是非、手に入れて一度試してみて下さい。

 

それではまた!

 

【Johnston & Murphy】コードヴァン

ABBEY LEATHER STICK

 

 

※おススメ参考記事

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コードバンに最高?【VENETIAN SHOE CREAM】真実の使い方