鏡面磨き、ハイシャインポリッシュ
を失敗しないコツ
ドイツ製【M.モゥブレィ】
馬毛ペネトレイトブラシ
店長青山です、
革靴のお手入れをする時に
鏡面磨き、ハイシャインポリッシュを
やろうとすると、
「いつも失敗してしてしまう。。」
「どうしても上手くできない!」
という方は多いかと思います。
すごくわかります・・・
店長青山は手先が
不器用でしてこの鏡面磨き、
かなり苦手
です。
ハッキリ言えば下手クソです。
鏡のように上手く光った
ためしがありません。
できればやりたくないのです。
ですが、
ワックスを塗る際の道具を
変えた時から、ある程度までは
簡単にうまく行くようになりました。
これまでにどうしても
上手くいかなかった、という人は
恐らくなのですが
油性の固形ワックスを塗る時に
布を使用していた
と思います。
鏡面磨きはこの磨く際の
クロスの使い方が重要なのですが
正直言ってなかなか難しいです。
そんな時に
強い味方となってくれる道具が
今回ご紹介する
【馬毛ペネトレイトブラシ】
です。
今後は靴のお手入れの際、
つま先を光らせる事ばかりが
楽しくなってしまうかもしれません。
是非、最後まで楽しんで
お読みください。
鏡面磨きで靴が光る原理
まずここで、
靴が鏡のように光るというのは
一体どんな原理で起こっているのか
考えてみたいと思います。
店長青山は常に原理原則を
大事にしています。
いちいち、このような
原理を知るというのは
面倒くさい事かもしれません。
ですが、
原理原則が理解できると
それを行うために必要なテクニックは
自分で考える事が出来るように
なってくるのです。
靴磨きがお好きな方にとっては
とても興味深い事ですので
今しばらく、お付き合いください。
鏡面磨き、もしくは
ハイシャインポリッシュ
と呼ばれる、靴を磨いて
鏡のように光らせる技術で一体何が
行われているのかを考えてみたいと
思います。
革の表面で起こる光の乱反射
まず、
通常の光っていない革靴の表面が
どのようになっているのかを
図で表しました。
絵心がまるで無いのは
ご容赦ください。。
で、
下の写真は靴の革の断面図です。
表面を拡大してみると
天然素材の皮革には大きさ、
深さなどが違う、毛穴があります。
革の表面を顕微鏡で
拡大してみるとデコボコしている、
という事ですね。
ここに光が当たると面が
デコボコの為、反射した
光の行き先がバラバラになります。
拡散して乱反射した光というのは
くすんでみえたり、マットな質感で
見える様になります。
鏡面磨きにおいて靴の表面に対し
行いたいのは、文字通り
鏡のガラスのようにツルツルに
平らにしていく事なのです。
表面の穴を油性ワックスで埋めていく
その際、靴磨きとして行うのは
少しずつ毛穴を埋めていく事で
徐々に表面を平らにする作業です。
通常は固形ワックスを
用いてこの穴を埋めていきます。
この作業は一回の工程で
終りませんので、何回も
固形ワックスを革靴の表面に
塗り込む作業を繰り返します。
この図では2回の作業でとりあえず
穴が埋まっていますが、ここまでが
鏡面磨きのベースを作る工程となります。
女性のお化粧で例えると
下地が出来たという所です。
ここから仕上げとして
さらに何層にもわたって
ワックスを重ね塗りして行きます。
靴の表面は平らでフラットな
状態に近づいていく事で
輝きを増していきます。
下地の上に固形ワックスの
平らな層が出来ました。
更に重ね塗りを繰り返し
デコボコしていた革の表面に
ツルツルのガラスのような
層をつくります。
出来上がりました。
このような平らな面に光が当たると
どうなるかといいますと、
正反射となり反射光線が平行となります。
鏡面反射(Specular reflection)です。
本当の正反射とは入射角と反射角が
等しい事を言いますが絵が下手で
角度が変なのは許して下さい!
図のように反射光線が平行だと
光が拡散しないので
靴の表面に物が映って見えます。
これが革靴の鏡面磨き、
ハイシャインポリッシュ
の原理となります。
ハイシャインの下地作りに
馬毛のペネトレイトブラシを使う!
で、
ここからが今回の裏技です。
この鏡面磨きですが、
上手くいかない時の共通点として
下地作りの段階で
すでに失敗している
というのがあります。
想像してみて下さい。
デコボコで曲がっている地面の上に
床が水平な家を建てようとしても
絶対にうまく行きませんよね?
家を建てる前には必ず
基礎工事をして平らな地面を
作った後に、その上へ柱などを
立てていきます。
そもそも水平な基礎が
出来上がっていなかったら
建物が作れる訳がありません。
それと同じです。
鏡面磨きを失敗してしまう
原因の一つとしては
「下地作りが上手くできていない」
という事があるのです。
でも、この下地作り
なかなか難しいです。
それをこれまでは
布を使って行っていた
と思うのです。
油性ワックスを均一にうすく
塗り込んで、鏡面磨きの
ベースを布で作るのには
それなりの練習が必要でした。
そして、
鏡面磨きが上手くいかない原因として
そもそも
「布の選び方が間違っている」
という、意外に結構多くの人が
犯している過ちもあるのです。
せっかく頑張って鏡面磨きを
しているのに、そもそも
使っている布が面に傷をつけている
ので、絶対に光らないという
悲しすぎる間違いです。
これに関しては詳しくご説明した
記事がありますので
必ず確認しておいてください。
しかし!
そんな数々の失敗を簡単に回避して
ハイシャインを行う裏技がありまして
それが今回ご紹介する
馬毛のペネトレイトブラシです。
行う事は簡単です。
ベースを作るまでの作業を
ホースヘアーのペネトレイトブラシを
使用して行うだけなのです。
馬毛ペネトレイトブラシの使い方
では実際に行う工程を
見てみましょう。
今回、鏡面磨きに使用する
固形ワックスは
【KIWI】
パレードグロスプレステージ
です。
缶に入っている、いわゆる
油性の固形ワックスとしては
鏡面磨きをするにあたって
最強の商品だと個人的には考えています。
今回はベースに
パレードグロスプレステージを
使いましたがもう一つ、
店長青山がおススメなのは
【M.モゥブレィ】
トラディショナルワックス
です。
こちらはフランス製で蜜蝋が
入っているワックスです。
伸びが良く、ツヤ出しやすいです。
鏡面磨きをするのにあたっては
最も簡単に成功させる事ができる
ワックスだと思います。
初心者の方に特におススメです。
フランス製という事で
缶もおしゃれでお部屋に置いても
いいですし、甘めの香りで靴磨きの
ワックスっぽくありません。
以前当店で鏡面磨きをお客様に
実技指導させて頂いた時には
こちらを使用して頂きました。
上手に光らせてくれましたよ。
では、
実際に鏡面磨きをする際に
馬毛ペネトレイトブラシを
使う手順をご紹介していきます。
今回はこちらの革靴に
磨きを施していきます。
馬毛ペネトレイトブラシで
鏡面磨きのベースを作る方法
ステップ1
馬毛ペネトレイトブラシに【KIWI】
パレードグロスプレステージを
少量取る。
ステップ2
ブラシに取った油性ワックスを
円を描くように、薄くつま先に
塗り広げる
ステップ 3
2、3分置いてから、
もう一度この工程を繰り返す。
ここまでが
馬毛ペネトレイトブラシで
ベースを作る作業です。
簡単ですね。
二回ほど丁寧に塗り込めば
ベースとしては完成です。
ステップ 4
水を一滴たらしてから布を使い
軽いタッチで磨きこんでいく。
円を描くように柔らかく
磨きあげる。
水分が無くなったら
もう一滴たらして磨く事を
繰り返す。
ステップ5
水で磨き終えたと思ったら
今度はワックスを布で取り
円を描くように非常に薄く
つま先に塗り込む。
円の大きさは一円玉より
小さいくらい。
塗り込んだら数分間
置いた後、再び水滴を
垂らして磨く
ステップ6
ステップ5を合計で
3回繰り返す。
1回目のワックスは
1円玉より小さいくらいの円。
2回目のワックスは
10円玉くらいの円。
3回目のワックスは
500円玉くらいの円の
大きさで靴に塗り込む。
最後に水だけで磨き上げる。
これで終了です。
水を使って磨く時のコツは
とにかく何回でも根気強く
行う事です。
塗り込んだワックスが
平らになる事で靴が光り、
ツヤが出てきます。
ステップ6の最後に
水だけを使って磨く時は
少なくとも10回位は行います。
鏡面磨きは
シューケアのプロの方でも
片足で最低20分くらいは
かかると思って下さい。
それ以上の速さで出来る方は
プロの中でもスペシャリストです。
と、いう事で
水滴を付けて磨きこんだ
つま先がこちらです。
いかがでしょうか?
ぶきっちょな店長青山にしては
まずまず頑張った方だと思います。。
よくみると、
つま先に靴の写真を撮る
店長青山の手とカメラが
映っているのが確認できるかと
思います。
このように
鏡面磨きがなかなか
上手くできないという方でも
ベースを馬毛のペネトレイトブラシで
作る事で比較的簡単にできるように
なります。
鏡面磨きとウイスキーやアルコール
ちなみに、
鏡面磨きを水滴を付けて行う目的は
靴との摩擦を減らして
布を滑りやすくする事で
作業を円滑に行う
という点にあります。
あくまでも、布を滑らせて
ワックスを伸ばし、
表面を磨く事が目的です。
ワックスに水分を混ぜて
成分の比率を変える事では
ありません。
布が滑ればそれでいいのです。
なので、
昔からこの水滴に関しては
水の代りにウイスキーや
アルコールなどお酒を使う方が
多くいます。
これにも実はきちんとした
利点があります。
水よりも揮発性の高い
アルコールを使用する事で
適度なスピードで蒸発していき
鏡面磨きがやりやすい、
というメリットです。
靴を酒で磨くという行為は
酔狂な酒飲みの趣味嗜好だけで
行われてきた訳でもない
という事ですね。(笑)
まぁ、
これは完全な好みの問題かとも
思いますので、好きなお酒を
飲みながら色々と試して頂ければ
いいのではないでしょうか?
ただ、
揮発性の高さを利用するのが
目的なのであれば、蒸留酒を
使う方がアルコール度数も
高めでいいでしょう。
ウイスキーやバーボン、ジン、
テキーラ、ウォッカ、ブランデー
コニャック、ラムなどの
スピリッツを使うという事ですね。
日本酒やワイン、ビールなどの
醸造酒はアルコール度数が
基本的に低めなので揮発性を
利用するという点では向いていません。
なので、日本人だったら
やっぱり焼酎でしょうか?
と、
いうことでお伝えしてきました
馬毛ペネトレイトブラシを
使用した鏡面磨きの
詳しいテクニック。
これまでに鏡面磨きが
上手くいかなかった方は
是非、一度お試し下さい。
それではまた!
ドイツ製【M.モゥブレィ】
馬毛ペネトレイトブラシ
ドイツ製【M.モゥブレィ】
豚毛 ペネトレイトブラシ
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合わせてお読み頂くと
今回のお手入れに対する理解が
より一層深まります。